韓国の音楽やドラマ、ファッション、カフェ文化に触れるうちに、「旅行ではなく、一度は韓国で暮らしてみたい」と考える人もいるのではないでしょうか。短期旅行では見えにくい日常を体験しながら、韓国語を学び、必要に応じてアルバイトもできる制度が韓国のワーキングホリデーです。
ただ、実際に調べ始めると、「何歳まで申請できる?」「韓国語が話せなくても大丈夫?」「現地のアルバイト代だけで生活できる?」「留学ビザとは何が違う?」など、気になる点が次々に出てきます。SNSには体験談が豊富にある一方、以前の制度を前提にした情報も残っているため、申請時期によっては内容が合わないこともあります。
そこで今回は、2026年8月時点の公的情報を中心に、日本国籍者が韓国ワーキングホリデーを検討するときに確認したい条件、必要書類、仕事、費用、住まい、渡韓後の手続きをまとめました。韓国で暮らすことへの憧れを、無理のない計画に変えるための入口としてご覧ください。
この記事の要点
- 韓国ワーキングホリデーは「休暇」が主目的で、就労は滞在費を補うための付随的な活動
- 日本人の参加回数は、2025年10月から一生涯で最大2回に拡大
- 対象年齢は原則18~25歳で、やむを得ない事情が認められる場合は30歳以下も申請可能
- 就労は原則週25時間以内のため、アルバイト収入だけに頼る計画は避けたい
- 申請方法と提出書類は管轄公館ごとに違う場合があるため、申請直前の公式確認が必須
韓国ワーキングホリデーとは?観光ビザとの違い

韓国のワーキングホリデービザは「H-1」と呼ばれる在留資格です。制度の中心にあるのは就職ではなく、韓国で休暇を過ごし、文化や生活様式を体験すること。その滞在資金を補う範囲で、短期的な仕事が認められています。
日本国籍者は、通常の短期観光であれば一定期間の滞在が可能ですが、観光目的の滞在資格で自由に働くことはできません。一方、H-1なら最長1年間の滞在を基本に、旅行、韓国語学習、アルバイトを組み合わせられます。2025年10月1日からは日韓間の制度が見直され、日本人が韓国のワーキングホリデーに参加できる回数が、一生涯1回から最大2回へ拡大されました。ただし、1回のビザで自動的に2年間滞在できるという意味ではなく、2回目も改めて条件を満たして申請・審査を受ける必要があります。 滞在方法主な目的就労向いている人 短期観光旅行・訪問原則不可まず短期間、韓国を体験したい人 ワーキングホリデー(H-1)休暇・文化体験条件付きで可能旅行、生活、語学、仕事を組み合わせたい人 留学(D-2・D-4など)大学・語学堂等での学習許可や条件が必要学業を中心に置きたい人 就労系ビザ就職・専門的業務資格範囲内で可能フルタイム就職を主目的にする人
申請できる人の主な条件
韓国外交部のワーキングホリデー案内によると、日本人の基本条件は次のとおりです。
- 日本に居住する日本国民であること
- 申請時に原則18歳以上25歳以下であること
- やむを得ない事情があると判断される場合は30歳以下であること
- 扶養家族を同伴しないこと
- 有効なパスポートを持っていること
- 滞在初期の生活費として十分な資金があること
- 帰国用航空券、または購入できる資金があること
- 滞在期間をカバーする健康保険に加入していること
- 健康で、犯罪歴がないこと
- 休暇と文化体験を主目的としていること
特に誤解しやすいのが年齢条件です。「30歳まで必ず申請できる」と断定できる制度ではなく、原則は25歳以下です。26~30歳で申請する場合は、就学、就職、社会状況などにより申請が遅れた事情を説明する理由書を求められることがあります。審査結果は個別に判断されるため、「理由書を出せば必ず通る」というものでもありません。
また、2回目の参加が可能になったとはいえ、年齢や資金、保険などの条件がなくなったわけではありません。1回目の経験がある人も、2回目の申請時点で最新要件を確認する必要があります。
必要書類は?準備を始める順番
公式の総合案内に掲載されている代表的な書類は、査証発給申請書、パスポート、証明写真、残高証明書、帰国用航空券または購入資金の証明、旅行・活動計画書、健康保険の証明、犯罪経歴証明書、健康診断書、在学証明書または最終学歴証明書などです。保険は韓国滞在期間をカバーし、補償範囲が最低4,000万ウォンと案内されています。
ただし、これは全国どこでも同じ書類だけを出せばよい、という意味ではありません。居住地を管轄する大使館・総領事館によって、書類の有効期限、翻訳の要否、提出方法、予約方法、残高の基準などが異なる場合があります。古いブログ記事のチェックリストをそのまま使わず、申請先公館の最新ページを最終基準にしてください。
2026年7月から東京の申請手続きが変更

駐日本国大韓民国大使館は、2026年7月1日からワーキングホリデー査証の申請手続きを変更しました。東京の大使館で申請する場合は、まず案内に従ってメールで事前相談を行い、書類確認後に申請日時の案内を受け、本人が指定日時に来館する流れです。従来のオンライン訪問予約や旅行代理店による代理受付を前提に準備すると行き違いが生じる可能性があります。
この変更は東京の大使館の案内です。札幌、仙台、新潟、横浜、名古屋、大阪、神戸、広島、福岡など、各地域を管轄する総領事館では運用が異なる可能性があります。最初に自分の住所を管轄する公館を確認し、その公館のページだけを見て準備すると混乱を減らせます。
活動計画書で大切なのは「現実性」
活動計画書には、「K-POPが好きだから」「韓国語を勉強したいから」だけでなく、どの地域に住み、いつ、何を学び、どこを訪れ、生活費をどう管理するかを具体的に書くことが大切です。仕事ばかりの予定にすると、休暇を主目的とする制度と合わなくなります。
例えば、最初の2~3か月は生活に慣れながら語学堂や民間講座で学び、その後は週25時間以内でアルバイトをし、休日には地方都市や文化施設を訪れる、といった流れなら制度の趣旨が伝わりやすくなります。実際には予約していない学校や住居を、確定事項のように書くのは避けましょう。審査のためだけの架空の計画ではなく、自分が安全に暮らすための設計図として作ることが重要です。
韓国語ができなくても行ける?
TOPIKなどの韓国語資格が一律の必須条件として示されているわけではありません。しかし、韓国語がほとんど分からない状態では、住居契約、アルバイト面接、病院、行政手続きで困る場面が増えます。日本語だけで応募できる求人はあるものの、選択肢は限られ、条件の確認を他人任せにしやすくなります。
渡韓前には少なくとも、ハングルの読み書き、金額と時間、住所の伝え方、面接で使う自己紹介、体調不良や緊急時の表現を身につけておきたいところです。資格の点数だけでなく、自分の生活を自分で守れる韓国語を優先すると役立ちます。語学に自信がない場合は、最初の数か月を語学学習中心にしてから仕事を探す方が、焦って条件の悪い職場を選ぶリスクを減らせます。
どんな仕事ができる?週25時間ルールに注意
H-1では、飲食店、ホテルやゲストハウス、販売、事務補助、観光・コンテンツ関連など、短期的な仕事を探す人が多く見られます。日本語対応、翻訳補助、SNS運用などで日本語力が評価される場合もありますが、仕事内容と在留資格上の可否は別問題です。
韓国外交部の2026年版案内では、就労時間は原則として週25時間以内とされています。医師、弁護士、教授、パイロットなど資格・免許を必要とする専門職、公序良俗に反する業務などは制限されます。また、外国語講師は別途E-2ビザが必要になる場合があるため、「日本人だから日本語を教える仕事なら自由にできる」と考えない方が安全です。判断に迷う求人は、契約前に韓国出入国外国人庁の1345へ確認しましょう。
2026年の韓国最低賃金は時給10,320ウォンです。仮に最低賃金で週25時間、1か月を平均4.34週として働くと、単純計算の月収は約112万ウォンです。税金などが差し引かれる前の目安であり、毎週上限まで働ける保証もありません。ここから家賃、食費、交通費、通信費を払うことを考えると、アルバイトだけで旅行や学習費用まで賄うのは簡単ではありません。
いくら準備すれば安心?生活費を先に計算しよう
ビザ申請で求められる最低資金と、実際に1年間暮らすための予算は分けて考える必要があります。公式総合案内では初期生活費として最低300万ウォンが示されていますが、これは1年間の生活を保証する金額ではありません。東京の大使館など申請先によっては、残高や航空券に関する個別基準が案内されるため、必ず管轄公館の条件を確認してください。
生活費は地域と住まい方で大きく変わります。次の金額は公定価格ではなく、計画を立てるための編集部試算です。 項目1か月の仮予算確認したい点 家賃50万~90万ウォン保証金・管理費・光熱費が別か 食費40万~60万ウォン外食回数と自炊環境 交通・通信10万~17万ウォン通学・通勤距離、端末代 日用品・交際・旅行20万~40万ウォン目的に合わせて余裕を持たせる
この例では月120万~207万ウォンほどで、語学学校の授業料、航空券、住居の保証金、保険、医療費は別です。ソウル中心部のワンルームにこだわるほど初期費用は上がります。コシウォンやシェアハウスは初期費用を抑えやすい一方、部屋の広さ、防音、窓、シャワー、退去条件を写真だけで判断しないことが大切です。
おすすめは「仕事が2~3か月見つからなくても生活できる資金」と「帰国用に手をつけないお金」を別に確保することです。求人がすぐ決まる前提で予算を作ると、焦りから違法就労や不利な契約を受け入れやすくなります。
渡韓後に忘れたくない手続き

韓国に到着したら、住居を確定し、一定期間を超えて滞在する外国人として在留登録の手続きを進めます。一般に入国日から90日以内の申請が必要ですが、予約枠が混み合うこともあるため、居住地を管轄する出入国・外国人官署を早めに確認しましょう。登録証は銀行口座、携帯電話契約、本人確認など生活のさまざまな場面で必要になります。
- 長期滞在に使える住所を確保する
- 管轄の出入国・外国人官署で在留登録を予約する
- 携帯電話、銀行口座、交通手段を整える
- 働く場合は勤務条件を書面で確認し、雇用契約書を保管する
- 転居や在留資格に関する変更があれば期限内に届け出る
賃金、勤務時間、休日、仕事内容は口約束で済ませず、必ず契約書で確認してください。パスポートや在留カードを勤務先に預けたままにすることも避けます。賃金未払いなどの労働相談は韓国雇用労働部1350、在留手続きは出入国外国人総合案内センター1345、緊急時は警察112・救急消防119が基本です。
韓国ワーホリのメリットと、行く前に知りたい現実
メリット
- 旅行より長い時間をかけて韓国の日常と文化を体験できる
- 教室で学んだ韓国語を買い物や仕事、人間関係の中で使える
- 語学、旅行、アルバイトの比重を自分で設計しやすい
- 日本語や日本での経験が仕事に生かせる場合がある
- 最大2回になり、1回目と異なる地域・目的に挑戦できる
注意したい点
- 就労時間が限られ、収入だけで生活費を賄えない可能性がある
- ソウルでは家賃や保証金が大きな負担になりやすい
- 韓国語力が低いと仕事と住居の選択肢が狭まりやすい
- 帰国後の就職や復学まで含めた計画が必要
- 好きな韓国文化と、行政手続きや職場を含む日常生活は別物
韓国が好きという気持ちは、渡航を決める大切な原動力です。ただし、好きな場所で暮らすことと、好きなコンテンツを楽しむことは同じではありません。混雑、気候、住居の狭さ、職場文化、言葉の壁に疲れる日もあります。期待を下げる必要はありませんが、「困ったときの相談先」「帰国できる資金」「仕事がなくても過ごせる期間」を用意しておくと、好きという気持ちを守りやすくなります。
留学とワーホリ、どちらを選ぶべき?

韓国語を体系的に伸ばし、出席管理のある環境で学ぶことが最優先なら、語学堂などに通う留学ビザが向いています。反対に、地方旅行や文化体験をしながら、学習と短時間の仕事を自分で組み立てたいならワーキングホリデーが候補になります。フルタイム就職や長期キャリアが主目的なら、H-1ではなく仕事内容に合う就労資格を検討すべきです。
迷う場合は、まず短期旅行で「観光地ではない住宅街を歩く」「スーパーで1週間分の価格を見る」「通勤時間帯の地下鉄に乗る」「候補の学校と住居を見学する」と、生活のイメージが具体的になります。SNSで人気の街だけでなく、自分の予算と目的に合う地域を確認してから決めても遅くありません。
申請前の最終チェックリスト
- 自分の住所を管轄する韓国大使館・総領事館を確認した
- 申請時の年齢条件と、2回目申請の条件を確認した
- 最新の提出書類、有効期限、予約・事前相談方法を確認した
- 活動計画が就労中心になっていない
- 保険の期間と補償額が条件を満たしている
- 仕事がなくても数か月暮らせる資金がある
- 家賃以外に保証金、管理費、光熱費を計算した
- 週25時間の就労上限を前提に収支を計算した
- 渡韓後90日以内の在留登録を予定に入れた
- 緊急帰国用の資金と連絡先を別に確保した
まとめ
韓国ワーキングホリデーは、韓国語や文化への関心を「現地で暮らす経験」へ変えられる制度です。2025年10月から日本人は最大2回参加できるようになり、以前より計画の幅も広がりました。一方で、原則18~25歳という年齢条件、週25時間以内の就労、資金・保険・書類の準備など、旅行とは異なる責任も伴います。
最初に考えたいのは「韓国へ行けるか」だけではなく、「韓国で何を経験し、帰国時に何を持ち帰りたいか」です。語学、旅行、仕事の優先順位を決め、収入が少ない場合も続けられる予算を作れば、活動計画書も現地生活もぶれにくくなります。
ビザ制度は変更されることがあります。本記事は2026年8月5日時点の公的情報をもとにしていますが、実際の申請では必ず居住地を管轄する韓国大使館・総領事館の最新案内を確認し、不明点は申請先へ直接問い合わせてください。
参考にした公式情報
- 駐日本国大韓民国大使館「ワーキングホリデー査証(H-1)申請手続き変更のお知らせ」
- 韓国外交部ワーキングホリデーインフォセンター「韓国ワーキングホリデー」
- 外務省「ワーキング・ホリデー制度」
- 韓国雇用労働部「2026年適用最低賃金」
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