「知らない業者が突然訪ねてきた」「電話で家族構成や在宅時間を聞かれた」「自宅の周辺を不自然に見ている人がいた」。このような出来事があると、単なる営業や偶然なのか、それとも防犯上注意したほうがよいのか、判断に迷うことがあります。
2026年7月23日放送のNHK総合「あさイチ」では、「トクリュウから我が家を守れ」をテーマに、住宅を狙った犯罪から家族を守るための防犯対策が紹介されました。
トクリュウとは「匿名・流動型犯罪グループ」の略称です。SNSの闇バイト募集などを通じて実行役を集め、メンバーを入れ替えながら、特殊詐欺、強盗、窃盗、投資詐欺、悪質リフォームなど、さまざまな犯罪に関わるグループを指します。
ただし、不審に見える訪問者や車両が、すべて犯罪の下見をしているとは限りません。見た目や一つの行動だけで決めつけるのではなく、訪問内容を確認し、個人情報を渡さず、危険を感じた場合には警察へ相談することが大切です。
この記事では、番組で紹介された内容と警察庁・警視庁の防犯情報をもとに、不審な訪問や電話への対応、住宅で見直したい防犯設備、家族で決めておきたい緊急時の行動を整理します。
この記事で分かること
- トクリュウとはどのような犯罪グループなのか
- 不審な訪問や電話で注意したい質問
- 訪問者に対応するときの安全な確認方法
- 玄関や窓で見直したい住宅防犯
- 危険を感じたときの110番と#9110の使い分け
トクリュウとは?従来の犯罪組織との違い

トクリュウは、「匿名・流動型犯罪グループ」を短くした呼び方です。
警視庁によると、トクリュウはSNS上の闇バイト募集などを通じてメンバー同士が結びつき、犯罪ごとに役割を細かく分担します。実行役はその都度入れ替わることがあり、指示を出す人物は匿名性の高い通信手段を使って、自分の存在を隠す傾向があります。
組長を頂点とする固定的な組織とは異なり、メンバーや関係性が流動的で、全体像が見えにくい点が特徴です。
トクリュウが関与するとされる犯罪には、次のようなものがあります。
- 特殊詐欺
- SNS型投資・ロマンス詐欺
- 住宅や店舗を狙った強盗・窃盗
- 悪質なリフォームや点検商法
- 違法なスカウト行為
- オンラインカジノ関連事犯
住宅強盗だけを指す言葉ではなく、金銭を得るための複数の犯罪に関わるグループを広く表す言葉として使われています。
「下見かも」と注意したい訪問や電話
犯罪を計画する人物が、業者や調査員を装って住宅を訪問し、住人の生活状況や防犯設備を確認する可能性があると警察は注意を呼びかけています。
ただし、次の項目に当てはまるだけで、必ず犯罪の下見だと判断できるわけではありません。大切なのは、不自然な質問に安易に答えず、相手の所属や訪問目的を確認することです。
家族構成や在宅時間を詳しく聞かれる
「何人で暮らしていますか」「昼間は誰か家にいますか」「高齢者だけになる時間はありますか」といった質問には注意が必要です。
生活に必要のない相手へ、家族構成や留守になる時間を伝える必要はありません。
正規の業者を名乗っていても、その場で答えず、会社名、担当者名、連絡先を確認しましょう。相手から示された電話番号ではなく、自分で公式サイトや契約書に記載された連絡先を調べて確認する方法が安全です。
現金や貴金属の保管状況を聞かれる
電話や訪問で、「自宅に現金を置いていますか」「金庫はありますか」「貴金属を買い取ります」と資産状況を探るような質問をされた場合は、回答しないようにしましょう。
自宅に多額の現金を保管していることや、金庫の場所、資産の内容を第三者に伝えることは、防犯上のリスクになります。
屋根や配管などの緊急修理を迫られる
「屋根が壊れているのが見えた」「水道管が危険な状態だ」「今すぐ修理しないと大変なことになる」などと不安をあおり、その場で契約や点検を迫る訪問にも注意が必要です。
実際に修理が必要な場合もありますが、突然訪ねてきた業者をすぐに家へ入れたり、その場で契約したりせず、家族や管理会社、普段利用している業者へ相談しましょう。
訪問目的が曖昧で説明が変わる
最初はアンケート、点検、宅配、近隣工事のあいさつなどと説明していたのに、質問するたびに内容が変わる場合は注意が必要です。
所属先の名刺や身分証を見せてもらっても、それだけで本物だと決めつけることはできません。玄関を開けずにインターフォン越しで対応し、必要がなければ明確に断りましょう。
不審な訪問者が来たときの対応
すぐに玄関を開けない
訪問者が来ても、いきなり玄関を開ける必要はありません。
まずはカメラ付きインターフォンやドアスコープを使い、相手の姿、服装、人数、持ち物を確認します。
玄関を開ける場合でも、ドアチェーンやドアガードを使用し、相手との距離を保ちましょう。ただし、相手の様子に少しでも危険を感じた場合は、ドアを開けずに対応してください。
宅配便は非対面受け取りも利用する
宅配事業者を装った強盗への対策として、インターフォン越しに非対面での受け取りを希望する方法があります。
置き配、宅配ボックス、指定場所への配達など、利用している事業者が対応している方法を確認しておきましょう。
予定していない荷物が届いた場合は、差出人や配送状況を確認してから対応してください。
相手の情報を安全な範囲で記録する
不審に感じた訪問者については、無理のない範囲で次の情報を記録しておくと、警察へ相談するときに役立つ場合があります。
- 訪問した日時
- 名乗った会社名や氏名
- 訪問の目的
- 服装や年齢の目安
- 車両の色や車種
- 名刺、チラシ、電話番号
- 防犯カメラやインターフォンの録画
ただし、記録するために相手を追いかけたり、近距離で撮影したり、問い詰めたりするのは危険です。自分と家族の安全を最優先してください。
不審な電話で答えてはいけない情報

犯罪グループが電話を使って、在宅状況や資産状況を確認するケースもあります。
知らない相手から次のような内容を聞かれても、答えないようにしましょう。
- 一人暮らしかどうか
- 家族が帰宅する時間
- 高齢者だけで過ごす時間帯
- 自宅に保管している現金の額
- 銀行口座や暗証番号
- 金庫や貴金属の有無
- 旅行や長期不在の予定
- 警備会社や防犯カメラの設置状況
警察官、市役所職員、銀行員などを名乗っていても、電話だけで信用してはいけません。
一度電話を切り、自分で警察署、自治体、金融機関の公式な電話番号を調べて確認してください。相手から指定された番号へそのままかけ直さないことが重要です。
玄関で見直したい防犯対策
鍵を二重にする
玄関の鍵を一つだけでなく、補助錠を加えたツーロックにすると、侵入までに時間がかかるようになります。
賃貸住宅の場合は、勝手に設備を交換できないことがあります。管理会社や大家へ相談してから設置してください。
カメラ付きインターフォンを活用する
訪問者の顔や会話を確認・記録できるカメラ付きインターフォンは、不審な訪問への備えになります。
設置しているだけで安心せず、録画機能が動いているか、日時設定が正しいか、家族全員が操作方法を理解しているか定期的に確認しましょう。
センサーライトや防犯カメラを設置する
玄関や建物周辺が暗い場合は、人の動きを感知して点灯するセンサーライトを設置する方法があります。
防犯カメラを設置するときは、玄関や敷地内を適切に撮影できる位置を選び、近隣住宅の窓や私有地を過度に映さないようプライバシーにも配慮しましょう。
窓からの侵入を防ぐために確認したいこと
玄関だけでなく、窓も侵入口になる可能性があります。
在宅中でも、使用していない部屋や2階の窓、浴室やトイレの窓を施錠する習慣をつけましょう。
補助錠を取り付ける
窓の通常の鍵に加えて補助錠を取り付けることで、侵入に必要な時間を増やすことができます。
製品によって取り付け方や対応する窓が異なるため、購入前に窓の形状やサイズを確認してください。
防犯フィルムは適切に施工する
窓ガラス用の防犯フィルムは、ガラスを割って短時間で侵入されることを防ぐための選択肢の一つです。
ただし、小さなフィルムを鍵の周囲だけに貼れば十分とは限りません。ガラスの種類やフィルムの性能、施工方法によって効果が変わります。
本格的な対策を考える場合は、防犯性能の高い建物部品や専門業者への相談も検討しましょう。
建物の周囲を整理する
窓の近くに脚立、箱、室外機以外の足場になる物を置いていると、侵入に利用される可能性があります。
庭木が伸びすぎて外から家の様子が見えにくくなっている場合も、死角が増えることがあります。定期的に建物の周囲を確認し、見通しを保ちましょう。
旅行や外出時に避けたい情報発信
SNSで旅行中の写真や「今日から数日間留守にします」といった投稿をリアルタイムで公開すると、不在を知られる可能性があります。
公開範囲を限定していても、情報が別の人へ伝わることがあります。旅行の写真は帰宅後に投稿する、位置情報を付けないなどの工夫を考えましょう。
長期間留守にするときは、新聞や郵便物がたまらないように手続きを行い、信頼できる近隣住民や管理会社へ伝えておく方法もあります。
家族で決めておきたい防犯ルール
防犯設備を設置しても、家族が対応方法を知らなければ、緊急時に迷う可能性があります。
次の内容を家族で確認しておきましょう。
- 知らない訪問者には玄関を開けない
- 家族構成や在宅時間を電話で答えない
- 宅配便はインターフォンで確認する
- 不審な訪問は家族へ共有する
- 録画映像を消さずに保存する
- 緊急時に避難する部屋や出口を確認する
- 携帯電話を充電して手の届く場所に置く
- 110番と#9110の違いを確認する
特に高齢の家族や子どもには、「警察や役所を名乗っていても、すぐに信用せず家族へ確認する」というルールを分かりやすく伝えておくことが大切です。
110番と#9110はどう使い分ける?
今すぐ危険がある場合は110番
次のような状況では、安全な場所へ避難したうえで110番へ通報してください。
- 玄関や窓を壊そうとしている人がいる
- 不審者が敷地内に侵入している
- 訪問者が帰らず、脅したり暴れたりしている
- 家の周囲を繰り返し徘徊している
- 家族や近隣住民に危険が迫っている
相手の様子を確認するために外へ出たり、自分で取り押さえようとしたりしないでください。
緊急ではない相談は#9110
「数日前に不審な訪問があった」「犯罪かどうか分からないが相談したい」「電話で個人情報を聞かれた」といった、今すぐ事件が起きているわけではない相談は、警察相談専用電話の#9110を利用できます。
地域によって相談窓口や受付時間が異なる場合があります。最寄りの警察署や都道府県警察の公式サイトも確認してください。
闇バイトに応募してしまった場合
トクリュウの実行役は、SNS上で「高収入」「即日現金」「簡単な仕事」「ホワイト案件」などと説明された求人から集められる場合があります。
応募時に運転免許証、マイナンバーカード、家族情報などを送ってしまい、辞めようとすると本人や家族への危害をほのめかされるケースもあります。
犯罪に関わる仕事だと気づいた場合や、脅されて抜けられない場合は、指示された犯罪を実行する前に警察へ相談してください。
「個人情報を渡したから逃げられない」と一人で判断せず、警察や信頼できる家族へ事情を伝えることが重要です。
防犯対策は一つだけに頼らない

防犯カメラ、補助錠、センサーライトなどは、住宅を守るための有効な選択肢です。
しかし、特定の商品を一つ設置すれば、すべての犯罪を防げるわけではありません。
玄関と窓の施錠、訪問者の確認、個人情報を伝えない習慣、近隣との情報共有、警察への早めの相談など、複数の対策を組み合わせることが大切です。
高額な防犯工事を急いで契約する必要はありません。まずは施錠状況やインターフォンの使い方など、すぐに確認できる部分から見直しましょう。
よくある質問
知らない業者が来たら、すべて警察へ通報すべきですか?
知らない訪問者が来ただけで、直ちに犯罪とは判断できません。
まずは玄関を開けずに、インターフォン越しで所属先と訪問目的を確認してください。帰るよう伝えても居座る、脅す、敷地内へ侵入するといった危険な行動がある場合は110番へ通報しましょう。
インターフォンに映った不審者をSNSに投稿してもよいですか?
防犯カメラやインターフォンの画像をSNSへ投稿すると、無関係の人を犯罪者扱いしてしまったり、個人情報や自宅の場所が広がったりする可能性があります。
不審な状況はSNSで拡散する前に、警察へ相談し、映像をそのまま保存してください。
防犯カメラがあれば補助錠は必要ありませんか?
防犯カメラは記録や抑止に役立つ可能性がありますが、物理的に侵入を防ぐ設備ではありません。
施錠、補助錠、防犯性能の高い窓や玄関部品、照明などを組み合わせて考えましょう。
不審電話に答えてしまったらどうすればよいですか?
在宅時間、家族構成、資産状況などを話してしまった場合は、家族へ共有し、玄関や窓の施錠を確認してください。
相手が再び連絡してきても答えず、着信履歴や電話番号を保存します。不安がある場合は、最寄りの警察署または#9110へ相談してください。
まとめ
トクリュウは、SNS上の闇バイトなどを通じて実行役を集め、メンバーを入れ替えながら特殊詐欺、強盗、窃盗、投資詐欺などに関わる匿名・流動型の犯罪グループです。
住宅を守るためには、不審な人を見分けることだけに集中するのではなく、家族構成、在宅時間、資産状況などの個人情報を安易に伝えないことが重要です。
訪問者には玄関を開けずインターフォン越しで対応し、窓や玄関の施錠、補助錠、防犯カメラ、センサーライトなどを必要に応じて組み合わせましょう。
現在進行中の危険や事件は110番、緊急ではない不安や相談は#9110を利用できます。
「考えすぎかもしれない」と一人で抱え込まず、違和感が続く場合は家族や近隣住民、警察へ早めに相談することが大切です。
公式参考情報
本記事は、番組で紹介された内容と警察庁・警視庁などが公開している防犯情報をもとに、一般家庭で確認しやすい形に再構成したものです。不審者や犯罪の可能性を外見だけで判断するものではありません。現在危険が迫っている場合は、記事を読むよりも安全な場所へ避難し、110番へ通報してください。
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