スーパーでいつものハムやカップ麺、だし、缶詰を手に取ったとき、「また少し高くなった?」と感じる場面が増えています。1品あたりの差は数十円でも、毎週買う食品が重なると、月末の食費には意外に大きく響きます。夏休みで家にいる時間が増え、飲み物や昼食、作り置き用の食品を買う機会が多い8月だけに、今回の値上げを不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
帝国データバンクが2026年7月31日に公表した調査によると、主要食品メーカー195社で、8月に値上げされる飲食料品は合計2,311品目。1回あたりの平均値上げ率は15%で、前年8月の1,262品目に比べて約8割増えました。2026年7月の2,664品目に続き、2カ月連続で2,000品目を超える規模です。
一方、少し前の記事では「8月は849品目」と書かれていたため、「なぜ急に2,311品目へ増えたの?」「数字のどちらが正しいの?」と戸惑うかもしれません。結論からいうと、849品目は5月29日時点で判明していた予定数、2,311品目は7月31日時点の最新集計です。この記事では、数字が増えた理由、値上げが目立つ食品、家計への影響、買い物で無理なくできる対策を分かりやすく整理します。
この記事のポイント
- 8月の値上げは2,311品目、平均値上げ率は15%
- 849品目から増えたのは、調査後に各社の価格改定発表が追加されたため
- 加工食品が1,419品目で、8月全体の約6割を占める
- 原材料だけでなく、包装資材・物流・エネルギーなど複数のコストが重なっている
- 9月は4,531品目が予定され、秋も家計への影響が続く可能性がある
2026年8月の食品値上げは2,311品目

帝国データバンクの「食品主要195社」価格改定動向調査では、家庭用を中心とする飲食料品の価格改定を集計しています。2026年8月は2,311品目で、平均値上げ率は15%。8月としては、同調査が始まった2022年に次いで過去2番目に多い水準となりました。 項目2026年8月 値上げ品目数2,311品目 平均値上げ率15% 前年同月1,262品目 前年同月比約8割増 前月(2026年7月)2,664品目
ここで注意したいのは、「2,311品目」という数字はスーパーに並ぶすべての食品を数えたものではなく、調査対象となった主要195社が公表した価格改定の品目数だという点です。同じシリーズでも容量や味が違えば別品目として数えられることがあります。また、年内に同じ商品が複数回値上げされた場合は、それぞれ別にカウントされ、価格を変えず内容量を減らす「実質値上げ」も含まれます。
そのため、「食品全体の価格が一律15%上がる」「家計の食費が8月から15%増える」という意味ではありません。平均値上げ率15%は、今回価格改定を行う商品の値上げ率をまとめた指標です。実際の負担は、家庭が対象商品をどのくらい購入するか、店舗がいつ販売価格へ反映するかによって変わります。
849品目から2,311品目へ増えた理由
849品目という数字は誤報ではありません。帝国データバンクが2026年5月29日に公表した調査では、その時点で8月の値上げ予定として確認できていた商品が849品目でした。同資料でも、8月と9月はいずれも今後1,000品目を超える可能性があるとされていました。
その後、食品メーカー各社が6月から7月にかけて新たな価格改定を発表し、7月31日時点の集計が2,311品目へ更新されました。差は1,462品目で、約2.7倍です。ただし、これは849品目の価格がさらに上乗せされたという話ではなく、「8月に値上げすると判明した商品の数」が追加された結果です。 公表時点8月の値上げ品目数数字の位置づけ 2026年5月29日849品目その時点で判明していた予定数 2026年7月31日2,311品目各社の追加発表を反映した最新集計
食品メーカーが価格改定を発表する時期は同じではありません。原料の仕入れ状況や在庫、取引先との調整、店頭価格の切り替え準備などを踏まえ、実施日の数週間から数カ月前に発表されるケースがあります。そのため、将来月の数字は調査のたびに増減します。値上げ記事を見る際は、品目数だけでなく「いつ発表された調査か」を確認することが大切です。
何が値上げされる?加工食品が全体の約6割
8月の値上げで最も多いのは「加工食品」の1,419品目です。ハム・ソーセージなどの食肉製品、カップ麺、缶詰、鏡餅製品などが含まれ、前年8月の188品目から約7倍に増えました。2,311品目のうち約61%を占めるため、普段の買い物でも変化を感じやすい分野です。 食品分野品目数主な例 加工食品1,419品目ハム、ソーセージ、カップ麺、缶詰、鏡餅など 調味料589品目だし製品など 原材料276品目ゴマ製品、小麦粉、砂糖など 菓子26品目菓子類 酒類・飲料1品目飲料・酒類
加工食品と調味料は、日々の献立を支える商品です。冷凍食品やカップ麺、缶詰は忙しい日の食事や防災備蓄にも使われ、だしや砂糖、小麦粉は一度買えば長く使うものの、切らすと買わざるを得ません。嗜好品だけを控えれば影響を避けられる値上げではなく、基本的な食生活に広く関係している点が今回の特徴です。
値上げの背景は原材料だけではない
原材料高が90.9%
2026年7月末時点の値上げ要因では、「原材料高」が90.9%と最も高くなっています。小麦、砂糖、食用油、畜産物などは、海外相場や天候、生産量、輸送環境の影響を受けます。原料そのものの価格が下がりにくい状態では、企業努力だけで吸収できる範囲にも限界があります。
なお、要因別の比率は一つの商品に複数の理由が当てはまるため、合計して100%にはなりません。「原材料高だけが原因」ということではなく、以下のコストが同時に重なっていると考えるほうが実態に近いでしょう。
包装・資材の上昇が64.0%
食品は中身だけで販売できません。トレー、袋、フィルム、ペットボトル、ラベル、印刷用インク、段ボールなど、多くの包装資材が必要です。特にプラスチック製品の原料となるナフサは原油価格の影響を受けやすく、資材価格の上昇が商品価格へ波及します。
「中身の原料は国産なのに、なぜ値上げするのか」と疑問に感じる商品でも、容器や包装、製造時の燃料が海外情勢の影響を受けている可能性があります。加工食品に値上げが集中した背景を考えるうえで、包装コストは見逃せません。
物流費65.8%、エネルギー63.5%
食品は工場から物流拠点、店舗へ運ばれます。冷蔵・冷凍が必要な商品では、輸送だけでなく温度管理にも燃料や電力がかかります。原油価格が上昇すればトラックの燃料費に影響し、電気代が上がれば工場、冷凍倉庫、店舗のコストも増えます。
帝国データバンクは、中東情勢の混乱を要因に含む値上げが27.8%に達したとしています。原油やナフサの高止まりが、包装資材、物流、エネルギーへ連鎖しているためです。さらに人件費を理由とする値上げも52.0%あり、一時的な原料不足が解消すればすぐ元の価格へ戻るとは限りません。
円安や異常気象も不確定要因
原材料や資材を海外から仕入れる場合、円安になるほど円換算の輸入価格は高くなります。また、猛暑、干ばつ、豪雨などで農水産物や畜産物の生産量が減れば、供給不足から価格が上がる場合があります。国際情勢、為替、天候は企業や家庭だけでは調整しにくく、今後の値上げ時期や幅を読みづらくする要因です。
家計にはどのくらい影響する?

「平均15%値上げ」と聞くと、毎月6万円の食費が6万9,000円になるように感じますが、単純には計算できません。15%上がるのは今回改定される対象商品であり、生鮮食品や値上げされない商品、外食などを含む家計全体の食費とは範囲が異なるからです。
影響を考えるときは、値上げ対象品に毎月いくら使っているかで試算するのが現実的です。たとえば、ハム、麺類、缶詰、調味料など今回の対象になりやすい商品を月1万円購入し、その部分が平均15%上がったと仮定すると、負担増は月1,500円、1年間では1万8,000円です。対象商品の購入額が月2万円なら、同じ仮定で月3,000円増となります。 対象商品の月間購入額15%上昇した場合の月負担増年間換算 5,000円750円9,000円 10,000円1,500円18,000円 20,000円3,000円36,000円
これはあくまで値上げ率を一律15%と仮定した目安で、実際の価格や購入量を示すものではありません。メーカーの希望小売価格とスーパーの販売価格は同じではなく、特売やプライベートブランドへの切り替え、購入頻度の変化でも負担額は変わります。
総務省が2026年7月24日に公表した6月の全国消費者物価指数では、総合指数は前年同月比1.7%上昇、生鮮食品を除く総合は1.6%上昇でした。今回の2,311品目は8月の価格改定予定なので、その影響が統計や家計にどの程度表れるかは今後確認する必要があります。値上げ品目数と消費者物価指数は調査対象や計算方法が違うため、同じ数字として比較しないようにしましょう。
負担を抑えるために今できる5つのこと
1.まず「よく買う10品」だけ価格を記録する
すべての商品価格を覚える必要はありません。ハム、カップ麺、缶詰、だし、砂糖など、自宅で繰り返し買う10品ほどをスマートフォンのメモに残しておくと、値上げ後も安い店や代替商品を判断しやすくなります。比較するときは本体価格だけでなく、100グラム、1個、1食あたりの単価を見るのがポイントです。
2.値上げ前でも買いだめしすぎない
賞味期限が長く、必ず使い切る缶詰や調味料なら、普段より1個多く買う方法はあります。しかし、収納量を超えるまとめ買いや、普段食べない商品の購入は節約にならないことがあります。特売でも使い切れず廃棄すれば、値上げ分以上の損失です。「1~2カ月で確実に使う量」を目安に考えましょう。
3.ブランドではなく用途で代替品を探す
いつも買う商品だけを探すと、値上げの影響をそのまま受けます。プライベートブランド、小容量と大容量、冷凍と常温、肉の部位などを用途ごとに比べると選択肢が広がります。ただし、大容量は単価が安くても、食べ切れなければ得ではありません。容量減による実質値上げにも注意し、表示量まで確認してください。
4.加工食品を一部だけ置き換える
忙しい日に便利な加工食品をすべてやめる必要はありません。たとえば、昼食5回のうち1~2回を、ご飯、卵、豆腐、旬の野菜などを使った簡単な献立に変えるだけでも購入数を調整できます。価格だけを優先して食事量や栄養バランスを大きく削るのではなく、無理なく続けられる置き換えが大切です。
5.家計簿は「金額」だけでなく「購入点数」も見る
食費が増えたとき、値上げが原因なのか、買う量や回数が増えたのかを分けて考える必要があります。レシートを見て「食費合計」「購入点数」「予定外の商品」の3つだけ確認すると、原因が見えやすくなります。値上げ分は自分では変えにくくても、重複購入や食品ロスは調整できます。
9月は4,531品目、秋の値上げにも注意

8月を乗り切れば終わりというわけではありません。7月31日時点では、9月に4,531品目、10月に2,720品目、11月に628品目の値上げが判明しています。特に9月は2026年で最も多く、2023年10月以来となる4,000品目超の見通しです。
2026年1~11月の判明分はすでに1万8,347品目で、調査開始の2022年以降、5年連続で年間1万品目を超える見込みです。2025年の年間2万609品目を上回る可能性も示されています。ただし、秋以降の数字も今後の企業発表で変わる可能性があるため、最新の調査日を確認してください。
また、政府が示している食料品の消費税率引き下げ方針が実現すれば、支払額を軽くする効果は期待できます。一方、原材料、包装、物流、人件費といった商品の原価自体を下げる制度ではありません。税率の議論と食品価格の動きは分けて考える必要があります。
よくある質問
Q.8月からスーパーの食品が全部15%上がりますか?
いいえ。15%は調査対象となった値上げ商品の平均値上げ率です。すべての食品が一律に上がるわけではなく、店頭価格への反映時期や販売価格も店舗によって異なります。
Q.849品目という情報は間違いだったのですか?
間違いではありません。849品目は2026年5月29日時点で確認されていた予定数で、2,311品目は7月31日までに判明した追加の価格改定を反映した数字です。将来月の集計は新たな発表によって更新されます。
Q.今のうちにまとめ買いしたほうが得ですか?
必ず使う商品を通常より少し多めに確保する方法はありますが、買いすぎはおすすめできません。賞味期限、保管場所、通常の消費量を確認し、使い切れる範囲にとどめましょう。店舗の特売で値上げ後のほうが安くなる場合もあります。
Q.「2,311品目」には内容量を減らした商品も入りますか?
はい。帝国データバンクの調査は、価格を据え置いたまま内容量を減らす実質値上げも対象としています。買い物では価格だけでなく、内容量と単位あたり価格も確認すると変化に気づきやすくなります。
まとめ

2026年8月の食品値上げは2,311品目、平均値上げ率は15%です。以前示されていた849品目から増えたのは、5月末以降に食品メーカーの価格改定発表が相次ぎ、7月末の最新調査へ追加されたためです。加工食品が1,419品目と全体の約6割を占め、調味料や原材料にも広がっています。
背景には原材料高だけでなく、原油・ナフサ高による包装資材費、物流費、エネルギー、人件費などがあります。家計への影響は各家庭の購入内容によって異なるため、「平均15%」を食費全体へそのまま当てはめるのではなく、よく買う商品の価格と容量を確認することが大切です。
大規模な買いだめよりも、単位価格の比較、使い切れる量の購入、代替商品の活用、食品ロスの削減を組み合わせるほうが長く続けやすい対策です。9月にはさらに大きな値上げが予定されているため、8月のレシートを基準として残し、秋の食費を見直す材料にしてみてはいかがでしょうか。
※本記事は2026年8月5日時点の公表資料をもとに作成しています。品目数や実施時期、店頭価格は、メーカー・販売店の判断や今後の発表によって変更される場合があります。
参考資料
- 帝国データバンク「食品主要195社 価格改定動向調査―2026年8月」(2026年7月31日)
- 帝国データバンク「食品主要195社 価格改定動向調査―2026年6月」(2026年5月29日)
- 総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2026年6月分」
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