熱中症対策に服の色は関係ある?表面温度の違いと夏の服装選び

季節・屋外の安全

真夏の外出時、黒い服を着ていると「いつもより暑い」と感じたことはありませんか。

水分補給や日傘、帽子はよく知られた熱中症対策ですが、強い日差しを受ける場面では、衣服の色によって表面温度に差が生じることがあります。

2026年7月23日のNHKニュースなどでは、国立環境研究所の一ノ瀬俊明氏が行ってきた、服の色と表面温度に関する実験が紹介されました。

実験では、素材や形をそろえた異なる色のポロシャツを日光に当て、色ごとの表面温度を比較しています。その結果、白や黄色は温度が上がりにくく、黒や濃い緑は高温になりやすい傾向が確認されました。

ただし、服の色だけで熱中症を防げるわけではありません。この記事では、実験から分かった色ごとの傾向に加え、素材やサイズ、日傘、水分補給なども含めた夏の服装選びについて分かりやすく整理します。

この記事で分かること

  • 服の色によって表面温度が変わる理由
  • 白や黄色の服が熱を持ちにくいとされる理由
  • 黒や濃い色の服を着るときの注意点
  • 色以外に確認したい素材やサイズ
  • 熱中症が疑われるときの対応

服の色で表面温度は本当に変わる?

国立環境研究所では、色だけが異なる複数のポロシャツを屋外に並べ、日光に当てたときの表面温度を比較する実験が行われています。

風がほとんどない日中の実験では、白いシャツの表面温度が気温に近い状態だった一方、黒や濃い緑のシャツは50℃を超えた事例があり、その差は20℃以上になりました。

ただし、この数字は特定の実験条件で測定された結果です。実際に人が着用したときの暑さは、気温、湿度、風、日差しの強さ、素材、汗の量、活動内容などによって変わります。

「白い服なら必ず涼しい」「黒い服を着ると必ず熱中症になる」という意味ではありません。服の色は、夏の暑さ対策を考えるうえで参考にできる要素の一つです。

なぜ色によって温度が変わるの?

衣服の表面温度に差が生じる理由には、太陽光をどの程度反射し、どの程度吸収するかという違いがあります。

白い物体は、目に見える光や近赤外線を比較的多く反射します。そのため、太陽から受け取るエネルギーが少なく、表面温度も上がりにくい傾向があります。

一方、黒い物体は幅広い波長の光を吸収しやすいため、受け取ったエネルギーが熱に変わり、表面温度が高くなりやすいと考えられています。

見た目の印象だけで判断できない色もあります。例えば赤は暖かそうに見えますが、実験では黒や濃い緑よりも表面温度が低い傾向が確認されています。

実験で温度が上がりにくかった色

国立環境研究所が紹介している実験では、色ごとの表面温度に次のような傾向が見られました。 色のグループ 実験で確認された傾向 白・黄色 表面温度が比較的上がりにくい グレー・赤 白や黄色よりやや高いが、比較的低い傾向 紫・青 中間程度の温度になりやすい 緑・濃い緑・黒 表面温度が高くなりやすい

※順序や温度差は、日射、風、気温、素材などの条件によって変わります。

夏の屋外で長時間過ごす場合は、白や黄色など明るい色を選ぶことが、衣服表面の温度上昇を抑える工夫の一つになります。

白い服は汚れが目立つため避けたいという方は、黄色、明るいグレー、赤などを選択肢に入れる方法もあります。

風がある日は色の差が小さくなることもある

服の表面温度は、色だけで決まるわけではありません。

国立環境研究所の解説では、風速が約3メートル毎秒ある条件では、白と黒の表面温度差がほとんどなくなった実験結果も紹介されています。

風が衣服の表面を通ることで熱が逃げやすくなり、色による違いが小さくなったと考えられます。

つまり、服の色だけを気にするのではなく、風通しのよい服装を選ぶことも重要です。体に密着する服より、衣服の中に空気が通りやすい、少しゆとりのある形のほうが暑さを逃がしやすくなります。

色だけでなく素材とサイズも確認

夏の服を選ぶときは、色と合わせて素材や形も確認しましょう。

吸汗・速乾素材

汗を吸い取り、乾きやすい素材は、汗で衣服が肌に張り付く不快感を軽減しやすくなります。

通勤、屋外作業、スポーツなど、汗を多くかく場面では、商品表示に「吸汗速乾」「ドライ」などの記載があるか確認する方法があります。

通気性のよい服

襟元や袖口が詰まりすぎている服は、衣服内部の熱が逃げにくくなることがあります。

襟元を少し緩める、袖や身幅にゆとりのある服を選ぶなど、空気が通る形を意識しましょう。

薄さだけで選ばない

薄い生地でも、体に密着していたり、汗を吸いにくかったりすると、快適に感じられない場合があります。

生地の薄さだけでなく、通気性、速乾性、着用したときのゆとりを総合的に確認することが大切です。

黒い服を着てはいけないわけではない

黒い服は、白い服よりも表面温度が上がりやすい傾向があります。しかし、黒い服を夏に着てはいけないという意味ではありません。

仕事の制服、冠婚葬祭、ファッション上の理由などで、黒や濃い色を選ぶ場面もあります。

黒い服を着る場合は、次のような工夫を組み合わせましょう。

  • 吸汗・速乾性のある素材を選ぶ
  • 体に密着しすぎないサイズを選ぶ
  • 日傘や帽子で直射日光を避ける
  • 日陰を選んで移動する
  • 長時間の屋外活動を避ける
  • こまめに涼しい場所で休憩する

黒い服か白い服かという二択ではなく、素材、形、日差しを避ける方法まで含めて考えることが現実的です。

UV対策と暑さ対策は分けて考える

夏の服装では、暑さだけでなく紫外線も気になります。

一般に濃い色の生地は紫外線を通しにくい傾向がありますが、表面温度は高くなりやすい場合があります。一方、白など明るい色は熱を持ちにくい傾向があるものの、生地の厚さや織り方によっては紫外線を通しやすいことがあります。

紫外線対策を重視する場合は、色だけで判断せず、「UVカット」や紫外線遮蔽率などの表示を確認しましょう。

明るい色のUVカット衣類、帽子、日傘、日焼け止めなどを組み合わせれば、暑さと紫外線の両方を意識した対策がしやすくなります。

場面別に考える夏の服装

通勤・通学

白、黄色、明るいグレーなどのトップスを選び、駅までの移動では日傘や帽子を活用しましょう。

汗をかいたまま冷房の効いた室内に入ると体が冷えることもあるため、薄手の羽織りを用意しておく方法もあります。

散歩・買い物

日差しの強い時間帯を避け、朝や夕方に移動することが基本です。明るい色の服と、つばのある帽子を組み合わせるとよいでしょう。

屋外作業・スポーツ

色だけでなく、吸汗・速乾性と通気性を優先します。暑さ指数が高い場合は、服装を工夫しても安全とは限りません。

活動時間を短くする、休憩回数を増やす、涼しい場所へ移動するなど、活動そのものを見直してください。

服の色だけでは熱中症を防げない

衣服の色を工夫することは、屋外で受ける熱を減らすための小さな対策の一つです。

しかし、熱中症は気温だけでなく、湿度、日射、風、運動量、体調、年齢、水分摂取量など、複数の要因が重なって起こります。

次の対策を一緒に行うことが大切です。

  • 喉が渇く前に水分を取る
  • 大量に汗をかいたときは塩分補給も考える
  • 暑さ指数や熱中症警戒アラートを確認する
  • 日中の不要不急の外出を避ける
  • 日陰や冷房の効いた場所で休む
  • 睡眠不足や体調不良の日は無理をしない

特に高齢者、子ども、持病のある方は暑さの影響を受けやすいため、本人だけでなく周囲の人も室温や水分補給を確認しましょう。

熱中症が疑われるときの対応

暑い場所にいた後、めまい、立ちくらみ、頭痛、吐き気、強いだるさ、筋肉のけいれんなどが現れた場合は、熱中症の可能性があります。

まずは涼しい場所へ移動し、衣服を緩め、首、脇の下、脚の付け根などを冷やします。自分で水分を飲める場合は、少しずつ補給してください。

呼びかけへの反応がおかしい、自力で水分を飲めない、意識がはっきりしないといった場合は、ためらわず救急車を要請してください。

服の色を工夫していても熱中症になる可能性はあります。「対策しているから大丈夫」と考えず、体調の変化を優先してください。

よくある質問

白い服なら熱中症になりませんか?

白い服は日光を反射しやすく、表面温度が上がりにくい傾向がありますが、熱中症を防げるわけではありません。

水分補給、休憩、日陰の利用、冷房の使用など、ほかの対策も必要です。

黒い服は絶対に避けるべきですか?

黒い服は表面温度が上がりやすい傾向がありますが、着てはいけないわけではありません。

通気性や速乾性のある素材を選び、日傘や帽子を使い、直射日光を避ける工夫を組み合わせましょう。

赤い服は暑くなりやすいですか?

見た目では暖かそうに感じますが、国立環境研究所が紹介する実験では、赤は黒や濃い緑よりも表面温度が低い傾向でした。

ただし、素材や日差し、風などの条件によって結果は変わります。

服の色と素材はどちらが重要ですか?

どちらか一方だけで判断するものではありません。

日差しの強い場所では明るい色を選び、同時に通気性、吸汗・速乾性、サイズのゆとりも確認することが大切です。

まとめ

国立環境研究所が行った実験では、風がほとんどない屋外環境において、白や黄色の衣服は表面温度が上がりにくく、黒や濃い緑は高温になりやすい傾向が確認されました。

服の色は、夏の暑さ対策として比較的取り入れやすい工夫です。ただし、気象条件や風の強さ、素材、服の形によっても暑さの感じ方は変わります。

明るい色を選ぶことに加え、通気性や吸汗・速乾性のある素材、ゆとりのあるサイズ、帽子や日傘、こまめな水分補給、適切な休憩を組み合わせましょう。

暑さ指数が高い日には、服装だけで対応しようとせず、外出や運動の時間そのものを見直すことが重要です。

公式参考情報

本記事は、番組で紹介された実験と公的機関が公開している情報をもとに、夏の服装選びに役立つ一般的な生活情報として再構成したものです。服の色や特定の衣類によって、熱中症を完全に予防できることを保証するものではありません。

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